最近プレコンセプションケアの必要性が言われています。
ブライダルチェックは、結婚・妊娠を考えている女性の健康診断のことですが、プレコンセプションケアとは、女性やカップルに将来の妊娠のために健康管理をうながす取組みのことです。ブライダルチェックとほぼ同様の内容のように思われますが、プレコンセプションケアは、病院での検査・診察だけではなく、食生活、生活習慣の指導等を含めた管理であり、思春期からの男女のこころとからだのケア、性教育を含めた若い世代の健康増進管理から、より健全な妊娠・出産だけでなく、次世代の子どもたちがより健康に過ごしていただくことまでを目的としています。
主なプレコンセプションケア
- 食生活
若い女性の低栄養や、やせが原因で、早産率や低出生体重児の頻度が増加したり、また将来お子さんの健康状態が悪化することがあります。また体重が増えすぎると、糖尿病、高血圧、血栓症、帝王切開術の増加につながります。そのため食生活の重要性が言われています。
厚生労働省から、 が紹介されています。 - 葉酸摂取の重要性
妊娠前からの葉酸を含むビタミンのサプリメント摂取により、神経管欠損症、二分脊椎、無脳症の頻度が減ります。
葉酸サプリメント内服をお願いします。 - ワクチン接種
- 風疹
妊娠初期に風疹に罹患すると、赤ちゃんに先天性風疹症候群(難聴、心疾患等)が発症することがあります。妊娠前に風疹への免疫があるかどうか(抗体があるかどうか)を採血で検査し、抗体が少なければワクチン接種をお願いします。またご主人、パートナーも風疹抗体検査をおすすめします。堺市では、風疹抗体検査を保健センターで無料で受けられます。堺市では、ご本人、ご主人、パートナーも1,000円の自己負担でMR(麻疹風疹混合)ワクチンの接種が可能です。 なおワクチン接種、抗体検査とも各市町村により助成額や手続きの仕方に違いがあります。お手数ですがご自身でホームページ等でご確認いただきますうお願いします。 - 水痘・おたふく風邪・麻疹
妊娠中に水痘にかかると、本人だけでなくおなかの赤ちゃんにも大きな影響があり、また妊娠後期の水痘感染により誕生直後の赤ちゃんが水痘にかかることもあります。
おたふく風邪、麻疹も妊娠中の感染で本人・おなかの赤ちゃんに影響が出ることがあります。
妊娠前に、水痘・おたふく風邪・麻疹抗体の有無を調べ、必要ならワクチン接種をお勧めします。
- 風疹
- 子宮頸がん
子宮頸がん検診を受けて下さい。早期発見により妊娠・出産に影響がない事が期待できます。
また子宮頸がんはワクチンで予防できる唯一のがんです。海外ではすでに子宮頸がんワクチン接種が進み子宮頸がん予防効果も出てきておりますが、日本ではワクチン接種が遅れております。特に若い世代での子宮頸がんワクチン接種を勧めいたします。 - タバコ・アルコール
禁煙いただき、アルコール摂取を控えて下さい。
タバコは早産、低出生体重児、常位胎盤早期剥離等の周産期異常の原因となりえます。
妊娠中の禁煙成功率は低いと言われていますので、妊娠前からの禁煙をお願いします。また受動喫煙の影響がありますのでカップルでの禁煙が重要です。
また妊娠前からアルコールは控え気味でお願いします。妊娠してからはアルコール摂取はやめて下さい。 - 性感染症 クラミジアと淋菌は異所性妊娠(子宮外妊娠)、不妊、下腹部痛の原因となりえます。妊娠前のスクリーニングと治療がこれらの予防に期待できます。
- B型肝炎 B型肝炎ウイルスに罹患する危険のある方(主に医療従事者)はワクチン接種が推奨されています。B型肝炎ウイルスの感染を防ぐことにより児への感染を予防でき、感染により起こる肝不全や肝がん、肝硬変など危険を減らすことができます。
- HIV/AIDS 万が一HIV感染が妊娠前に判明した場合、抗ウイルス薬治療をすぐに行うことで、AIDS発症や児への感染を防げる可能性があリます。
- 生活習慣病の予防、持病の管理
30歳代でも高血圧、糖尿病を発症することがあります。また甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、自己免疫疾患、てんかん、精神疾患、がんの持病をお持ちの方も多いと思いますが、症状が安定していれば妊娠・出産には影響無いことも多いです。
これまでにかかった病気や飲んでいる薬が将来の妊娠に影響がないか医師に相談して下さい。また妊娠を希望したい時期を伝えて下さい。
引き続きかかりつけ医での治療、管理をお願いします。 - DV 妊娠・出産について周囲に相談できずに悩まれていませんか? 経済的困窮、社会的孤立、DVなどの様々な背景があり、児童虐待につながる場合もあります。ご本人と将来の児の健康のため、妊娠前からの医療と行政による支援が可能ですのでご相談下さい。